カゲロウ日記

日々の徒然。

さよなら、フリーダム

妊娠8週で流産した。先日結婚した小学校からの親友からLINEがきた。声が聞きたい、と書いてあった。 何と言っていいのか、いやむしろ何と言ってはいけないのか。 分からなくて携帯で「友達 流産 かける言葉」なんて検索する、自分が嫌になる。こんな時まで、…

浅草さんぽ

浅草の神谷バーで19時、スニーカーに履き替えて集合ね、と友人は言った。 最近散歩にはまっている。 待ち合わせた神谷バーは、変わらぬ出で立ちでそこに存在した。明治13年創業、浅草一丁目一番地。明治時代に誕生したブランデーベースのカクテル、電気ブラ…

青い鳥と孤独な土曜日

スピッツとの出会いは、大学を辞めて再受験のために半年ニート生活を送っていたときのことだ。地元の図書館のCDコーナーにあったものを手当たり次第借りていて、『名前をつけてやる』というアルバムタイトルに惹かれて手にとったのが始まりだった。当時、…

アラブ人と優雅な朝食

人種のるつぼ、という言葉がこれほどしっくりくる国も珍しい。忘年会の景品で無料宿泊券を頂き、先週ドバイのある5つ星ホテルに宿泊することになった。 朝食の席はビジネスマンやヴァケーションに来た家族らであふれ、”としまえん”になるかならないかの瀬戸…

パニック障害のあなた

ドバイは鬱病が多いらしい。診察室には真面目そうな欧米系サラリーマンたちが待機しており、私は鬱病になった友人を見送った。中東の猛暑が和らぎ、ペルシャ湾から流れてくる海風が心地よい良く晴れた秋の日だった。彼は私が知る限り強靭な性質で(ノルウェ…

定時に退社してみたら世界が変わった話

思いきって17時に退社してみた。まだ日が出ている頃、海沿いの人工的な街を散歩した。となりにいつも一緒にいてくれる友人がいた。チーズフォンデュとチョコフォンデュを同時にやって一緒に胸やけした。まだ19時だね、としみじみよろこんだ。 2時間の残業っ…

ドバイのプールバーの入口の描写

10月に入りようやく日中でも外を歩ける程度の気候に落ち着いてきたので、ここ最近の週末は専らプールバーに足を運ぶ。 プールバーは、所謂バブリーでセレブリティーなマリーナやジュメイラと呼ばれる南エリアに存在する。 一方で私の仕事場 兼 住居があるク…

元日の朝の牛乳

近くのタクシー乗り場からトヨタのLand Cを拾い、久々にドバイのZero Gravity(ドバイのビーチバー)へ向かった。クールな入口には黒人のセキュリティが立ち、私は童顔のため年齢確認をされる恒例作業が加わる。一度IDを忘れて生年月日を証明できなかったと…

目の劣化

「山に登る人が時折後ろ向きに登って筋肉を休ませるように、たまに違う使い方をしないと脳もへとへとになる。」(雪雪/醒めてみれば空耳,2003-1-29) ドバイは砂漠に建った人工の街。まさに砂上の楼閣にいると、脳だけでなく目や鼻だって劣化する。 イランで…

Country of Paradox

次の日のテヘランは生憎の雨だった。 彼女(イラン人の同僚)はとてもFashionableだ。深緑のヒジャブとパンツを合わせ、深緑の石の指輪とよくマッチしている。ネイルはダークレッド。コートと鞄は黒で統一して引き算も完璧。その指輪とっても素敵ね、と言う…

初めてのテヘラン

なかなか仕事をしないコンサルから、またインシャアッラー(神の意のままに)の言葉を聞き電話で喧嘩をする。「前回依頼した調査概要はいつ出てくるのかしら?」「OKOK、インシャアッラー」、といった調子で2週間が過ぎて埒があかないので現地に乗り込んだ…

樹木と彼女

樹木にしか関心のない友人がいる。彼女とは地元が近く、自転車で待ち合わせしてはよく公道を当てもなく走っていたのだが、街路樹を見ては、この樹はあと2年で枯れるよ、とか、この部分は早急に接ぎ木が必要だ、などと占い師顔負けの提言をひとり行っていた。…

スミスとヨーロッパで出会った話

“スミス”。ありきたりなバンド名を持ちながら、最もひねくれたバンドグループ。英国マンチェスターで誕生し1982年―1987年の約6年間活動した。彼らは1980年代のサッチャー時代の英国の不安定さから生まれた、いわばアウトサイダーだった。当時の英国は、労働…

倉敷旅行記

”僕が旅に出る理由は大体100個くらいあって~”今回の旅は2泊3日。主な目的地は3つ。岡山県倉敷市(大原美術館)、広島県尾道市(千光寺)、尾道からしまなみ海道を自転車で渡り、瀬戸田市(海と平山郁夫美術館と温泉)。 ・1日目(8.9.2011)岡山県のバ…